高知県が、3月4日に同県内で開幕する歴史博覧会「志国高知 幕末維新博」の開催概要を発表しました。1月13日に土佐藩上屋敷があった東京・千代田区の東京国際フォーラムで、発表会見を実施。40社を超えるメディアが取材に訪れる中、尾﨑正直知事らが登壇し、概要を発表しました。

高知県内22会場を中心に2年間開催

幕末維新博は、今年10月の大政奉還150年、そして来年の明治維新150年の節目を迎えるにあたり、幕末史をテーマとした高知県の歴史や豊かな自然、食文化などを満喫してもらう広域観光キャンペーンです。坂本龍馬や中岡慎太郎、吉村寅太郎ら土佐藩出身の志士たちゆかりの地など、県内22カ所の関連施設を整備。2019年3月末までの約2年間に渡って実施されます。

尾﨑知事は「どうしてあれだけ多くの土佐の若者たちが、命を懸けてまで日本のために取り組んだのか。多くの資料とともに、志士たちが生まれ、活躍した土佐の息吹を感じていただきたい。食や自然といった高知県の文化を堪能できる周遊コースもご用意いたします」とアピール。高知県は2010年、大河ドラマ「龍馬伝」の放送とともに「土佐・龍馬であい博」を開催し、県外からの観光客数が過去最高の435万人にのぼったことから「435万人を目標にし、幕末維新博後もその水準を維持できるようにしていきたい」と意気込みを語りました。

志国高知 幕末維新博の会場マップ

山内家伝来の67,000点収蔵の高知城歴史博物館が、3月にオープン

幕末維新博は、3月4日から2018年3月末までを第一幕、2018年4月から2019年3月末までを第二幕として開催。第一幕では、開幕日にオープンする高知城歴史博物館が、第二幕では、リニューアルオープンする坂本龍馬記念館がメイン会場となり、20カ所の地域会場とともに博覧会を盛り上げていきます。高知城歴史博物館では、土佐藩主山内家伝来の史料67,000点を収蔵。3月のオープニングセレモニーには、「龍馬伝」で平井加尾役を演じた高知県出身の女優・広末涼子さんや、「竜馬がゆく」(1968年)の武市半平太役など幕末が舞台の大河ドラマで数々の出演歴がある俳優の高橋英樹さんら、特別ゲストも来場予定です。

新たに発見された、坂本龍馬直筆の書簡を一般公開

また、この日の会見では、新たに発見された坂本龍馬直筆の書簡が初めて公開されました。慶応3年(1867年)11月10日の日付で、龍馬の花押(署名)が入っています。京都の近江屋で暗殺されるわずか5日前に、福井(越前)藩の重臣・中根雪江に宛てて書かれたもの。龍馬はこの書面で、藩が幽閉している三岡八郎(由利公正)を一刻も早く新政府に出仕させるよう懇願しています。「三岡兄の御上京が一日先に相成候得ハ 新国家の御家計御成立が一日先に相成候」(三岡の上京が一日先になれば、新国家の御家計(財政)の成立も一日先になる)と訴えており、発見された龍馬の書状の中で初めて「新国家」という表現がなされている大変貴重な史料となります。

松平春嶽、中根雪江、三岡八郎の子孫の方々とともに会見に出席した郷士坂本家10代目当主・坂本匡弘さんは「今年は大政奉還150年、そして龍馬の没後150年という節目の年に新発見の書状が見つかったということで、これは偶然ではなく、龍馬が導いてくれたのではないかと思わざるを得ません。こうしてご子孫の方々とお会いすることができたのも龍馬のおかげだと感謝しています」と感慨深げでした。今回発見された龍馬の書簡は、幕末維新博の開幕とともに、高知城歴史博物館で一般公開予定です。

勝海舟、後藤象二郎ら幕末期に撮影された写真も公開

また、この日は書簡とともに幕末期に撮影されたガラス湿板写真も初めて公開されました。明治時代に出回った坂本龍馬のバストアップの複製写真や勝海舟、後藤象二郎らの湿版写真、当時としては大変貴重な抜刀した侍の写真など多数。こちらも、幕末維新博の期間中に随時、一般公開されます。近代国家へ歩み始めた激動の時代を、志士たちを育んだ高知で体感してみてはいかがでしょうか。

志国高知 幕末維新博の記者発表会の出席者。写真左から湿板写真家・林道雄氏、大東文化大学外国語学部非常勤講師で古写真調査研究会副代表の倉持基氏、京都国立博物館学芸部上席研究員・宮川禎一氏、高知県知事・尾崎正直氏、郷士坂本家十代当主・坂本匡弘氏、越前松平家二十代当主・松平宗紀氏、中根雪江子孫・中根勝行氏、三岡八郎五代目子孫・三岡慶胤氏

志国高知 幕末維新博オフィシャルサイト
http://bakumatsu-ishinhaku.com